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甲府地方裁判所 昭和45年(ヨ)102号 判決 1972年7月17日

申請人 小尾光治 外一名

被申請人 山梨貸切自動車株式会社

主文

一  申請人両名が被申請人に対し労働契約上の権利を有する地位を仮に定める。

二  被申請人は、申請人小尾光治に対し、昭和四五年九月以降月額五〇、七〇三円、申請人清水峯雄に対し、同月以降月額四七、八〇一円を各月二九日限り支払をせよ。

三  申請費用は、被申請人の負担とする。

事実

第一当事者の申立

一、申請人両名

主文同旨

二、被申請人

1  本件申請をいずれも却下する。

2  申請費用は、申請人両名の負担とする。

第二申請の理由

一、当事者

被申請人(以下会社という。)は、一般旅客運送を営む株式会社である。申請人小尾は昭和三七年七月、同清水は昭和三五年一二月会社に雇用され、ともに運転手として勤務して来た者であり、かつ、会社に勤務する従業員によつて組織された山梨貸切自動車労働組合(以下組合という。)の組合員である。

二、解雇

会社は、昭和四五年八月三一日、申請人両名に対し、就業規則四二条二号、五一条一号、労働協約一一条、四四条一八号、再建対策委員会確認書に基づいて解雇する旨通告したが、その理由として「申請人両名が、組合の三役を理由に、団体交渉以外においても、会社の許可なく就業を怠り、しかも、最近数か月間における営業成績は全従業員の最低である」ことが掲げられている。

三、解雇に至るまでの労使関係の概要

(一)  組合は、昭和二六年頃結成され、以来組合員の労働条件の維持改善のため諸活動を行つて来たが、会社との労使関係は比較的平穏であつた。

(二)  ところが、昭和四四年三月八日、組合が会社に対し賃金アツプ等の要求書を提出し、会社と団体交渉に入つたところ、会社は、同年五月一〇日の団体交渉において、運転手の勤務時間を、従来の二車三人制から一車二人制に改める、賃金体系を、従来の一か月稼高一〇万円以下二%、一〇万円以上は累進割合による歩合給という制度を、一か月稼高一一万円以上に対し一律四〇%の歩合制に改める、一部営業所を無人として配車係員を運転手に職種変更する等の会社改革案を逆提案し、交渉は難航し、延九波のストライキを繰返す闘争に発展した。その結果、同年六月一一日、賃上げに関する協定書と、会社改革案について労使双方が検討を行い、具体的実現をはかるために、会社、組合、全国自動車労働組合連合会(以下全自交という。)による会社再建対策会議を設置する旨の確認書を締結して、争議は収拾された。

(三)  同年六月一六日以降、再建対策委員会が開催され、同年七月二二日、会社改革案に基づき新勤務体系、賃金体系等が協定され、その後も、再建対策委員会は、労使双方の協議によつて、会社の再建案を検討し、乗務員機構改革等を実施して行つた。

(四)  昭和四五年春闘において、会社は、歩合給支給最低稼高を一二万円に引上げることを提案し、組合の反対にあつて実現できないでいたが、同年六月七日、組合に対し歩合給改訂問題について再考を要求し、これが受入れられないときは「事業の閉鎖と今までの一切の労使慣行及び労働協約破棄を予告する」との態度を表明し、同月二〇日には、組合に対し一方的に歩合給支給最低稼高を一二万円に引上げるとの通告を行つたことから、再び労使関係は緊張した。しかし、組合もその後会社の要求を諒解することとし、同月二九日協定が結ばれたため、紛争は収拾された。

(五)  申請人小尾は、昭和四一年中組合の中央執行委員、昭和四三年同副委員長に選任され、申請人清水は、昭和四〇年同執行委員、昭和四一年同書記長に選任され、以来いずれもその地位にあり、また、会社再建対策委員会の組合側委員であつて、熱心に活動して来たところ、突然本件解雇がなされた。

四、解雇の無効

本件解雇は、次の理由により無効である。

(一)  労働協約四四条違反

1 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準は、就業規則の定めに優越し、労働協約の基準に達しない就業規則の該当部分は無効であり、これについて労働協約の基準が適用されることはいうまでもない。組合と会社との間には、労働協約が存在し、懲戒及び解雇に関する各規定があるが、これと就業規則との関係は次のとおりである。

2 懲戒については、就業規則四八条は六種の制裁処分を定めている。しかし、労働協約は、会社が組合員に対し懲戒するときは、懲罰委員会で協議決定する(四四条)と修正し、会社に手続的制約を課している。

3 解雇については、就業規則四二条は、1就業規則、労働契約、誓約書に反する行為があつたとき。2業務に誠意なく出勤不良又は業務能率著しく劣り改善又は熟達の見込みのないと認められたとき。3休職期間が満了しても復職出来ないとき。4事故欠勤が引続き三〇日以上にして事故休職を認められないとき。5傷病により不具廃疾又は精神身体に故障が生じ職務に耐えず治癒する見込みのないと認められたとき。6打切り補償を行つた者について必要が生じたとき。7禁錮以上の刑に処せられたとき(但し業務上の過失の場合は除く)。8試雇期間中のもので不適当と認められるもの。9天災地変その他やむをえない事由により事業の継続が不可能となつたとき。10その他上記に準ずる事由があると認めたとき。と要件を定めている。

しかし、労働協約五一条は、通常解雇が出来る場合を1不具、廃疾その他精神又は身体に故障があり、職務に耐えないと会社の指定する医師の診断があつたとき。2労働基準法五一条の規定により就業を禁止すべき疾病にかかり治癒の見込みがないと会社の指定する医師の診断があつたとき。3禁錮以上の刑に処せられたとき(業務上の過失の場合は除く)。4打切り補償を行つた者について必要があつたとき。5その他解雇の必要を認めたとき。と五項目の場合に限定し、解雇予告の手続の他に、事前に組合に通告することを要件としている。

4 労働協約五一条のうち一~四号は就業規則四二条五~七号にほぼ対応している。そして、同一、二号の要件に対応するものは、労働協約五一条には存在しないが、これは、右要件が実質的には懲戒事由であるから、懲戒について定めた労働協約四四条に吸収され、すべて懲罰委員会の協議決定を要するものとされたと解すべきであり、組合への事前通告でできる通常解雇を定めた労働協約五一条からは除外されたものと解することができる。

5 なお、労働協約五一条五号の「その他解雇の必要を認めたとき」とは、同条の趣旨、構造、他の各号との対応などから考えると、就業規則四二条三、四号等と同様に労働能力喪失などにより労働契約を維持していくことができない場合のみに限定されるべきである。

6 ところで、本件解雇は、会社自身就業規則五一条(懲戒解雇)一号、労働協約四四条(懲戒)一八号を引用するごとく、実質的には懲戒解雇である。従つて、本件解雇に当つては、労働協約四四条に基づき、懲罰委員会での協議決定を要するのに、これを経ていないから、本件解雇は、重大な手続違反があつて無効である。

(二)  労働協約五一条違反

仮りに、本件解雇が労働協約五一条の通常解雇だとしても、同条一~五号のいずれにも該当しないし、また、事前に組合に通告していない。従つて、本件解雇は、同条に違反し無効である。

(三)  労働協約一一条違反

1 組合員の組合活動については、労働協約第二章においてその自由が保障されており、ことに時間内の組合活動については、組合大会、中央委員会、執行委員会、組合四役会、職場集会、大衆討論集会などの組合の諸会議への出席、団体交渉への出席、上部団体の要請に基づく諸行動への参加のほか、執行委員については、組合執行業務などのためにも認められてきており、届出の方法も、営業所長、労務課長への口頭あるいは電話による通告という簡便なやり方も慣行として認められていた。

そのため、事実上組合三役については、勤務時間の相当部分を組合活動に従事しているという事態が生じていたが、会社はこれを黙認し続け、賃金も、勤務したものとして取扱いその全額を支給していた。この組合活動に関する慣行は、基本的には労働協約一一条に基づくものであつた。

2 この慣行については、昭和四四年九月ころ、組合四役と会社の部・課長との協議の席上、会社から労働協約を厳格に適用することにしたいとの提案があつたが、組合は、再建対策が軌道に乗ろうとしている時期にあることを理由に反対したところ、会社も、この問題については後日協議することにしたいとして、提案を取り下げた。それ以後は、会社から提案もなく、本件解雇に至るまで何らの問題もなく従来の慣行が維持されてきた。

3 申請人両名の営業稼高は、組合役員として、また、特に再建対策委員会の委員としての多忙な活動のため、他の運転手に比較して著しく低かつたが、このことについて、会社から、何ら苦情を言われたことも、注意を受けた事実もなかつた。また、時間内組合活動について警告・注意などを受けたこともなかつた。

4 以上のとおり、時間内組合活動については労働協約一一条がこれを保障し、その運用についての労使慣行が確立していたから、申請人両名が時間内に組合活動をすることは自由であり、申請人両名の営業稼高が不良であつたのは、組合活動および再建対策委員の業務に起因する。従つて、申請人両名を、営業成績不良を理由として解雇することは、労働協約一一条に違反し無効である。

(四)  解雇権濫用

前項で述べたように、申請人両名の営業成績不良は、労働協約一一条及び同協約の運用に関する確立した慣行により保障された時間内組合活動等に従事していたためであり、会社は、本件解雇に至るまで、同条の運用につき、これを改めるための措置をとつた事実はなく、却つて、これを容認していたのであるから、このため申請人両名が営業成績不良に陥つたとしても、これを理由に解雇することは、解雇権の濫用であつて無効である。

(五)  不当労働行為

会社は、昭和四四年春闘以来、会社の営業を阻害するものとして、次第に組合との対決の姿勢を深めてきたが、組合の中心的活動家の申請人両名を解雇することによつて、組合組織の弱体化と混乱を企図したものであるから、本件解雇は労働組合法七条一、三号に違反し無効である。

五、仮処分の必要性

会社の賃金は、毎月二五日締切り二九日払いであり、本件解雇当時、申請人小尾は毎月平均五〇、七〇三円、清水は同四七、八〇一円の支給を受けていたが、両名は、会社からの賃金収入を唯一の生活の資としているから、本案判決の確定をまつては回復しがたい損害を受けることは明らかである。

第三申請理由に対する答弁

一、申請の理由第一・二項は認める。

二、同第三項中(一)から(四)については、後記被申請人の主張第一項のとおり。(五)は認める。

三、同第四項中(一)の1から3は認める。4のうち、労働協約五一条一~四号が就業規則四二条五~七号にほぼ対応すること、同一・二号に対応するものが労働協約五一条にないことは認めるが、その余は争う。5は争う。同条五号の「その他解雇の必要を認めたとき」とは、その文言どおり、一~四号以外の場合で解雇の必要を認められる場合を広く指称し、就業規則四二条一・二号に該当する場合は、当然これに包含される。6のうち、会社が申請人両名主張の各規定を引用したこと、本件解雇に当り懲罰委員会の協議決定を経ていないことは認めるが、その余は争う。本件解雇は、形式的にも実質的にも通常解雇であつて、懲戒ではない。

(二)は否認する。組合に対する通知は訓示規定に過ぎないのみならず、会社は、組合に対し、申請人両名の解雇を事前に通告している。

(三)の1のうち、組合活動が労働協約二章において保障されていることは認めるが、その余は否認する。2のうち、申請人両名主張の会社の提案及びこれに対する組合の反対は認めるが、その余は否認する。3のうち、申請人両名の営業稼高が著しく低かつたことは認めるが、その余は否認する。4は争う。

(四)、(五)は、いずれも争う。

四、同第五項中、賃金支払方法は認めるが、その余は否認する。

第四被申請人の主張

一、本件解雇にいたる経緯

1  従前の労使関係

会社における運転手の労働条件は、従前より甲府市内の同業他社に較べて常に上位のクラスにあり、特に、賃金中固定部分の比率が高いので運転手の賃金収入はきわめて安定している。昭和二六年には、主任以下の従業員全部によつて組合が結成され、昭和四一年には全自交に準加盟し、昭和四三年には、これに正式加盟した。現在の組合員数は約二三〇名である。昭和三七年一一月会社は組合と労働協約を結んだが、その第二章「組合活動」においては、「会社は組合員の組合活動の自由を認める」(一〇条)ことはもとより、「組合活動は原則として労働時間外に行う」(一一条一項)としながらも、その除外例を定めて労働時間中の組合活動に多大の便宜を与えるほか、組合活動に種々の便宜を与えた。このように、会社は組合並びに従業員に最大限の信頼と温情をもつてあたつてきたが、組合並びに一部の従業員は兎角会社の信頼を裏切り、会社の温情並びに前記労働協約を悪用して自己の権利を主張することに急で、労働契約上当然に果すべき義務さえ顧りみないことがしばしば見受けられた。

2  会社の業績の悪化

昭和四二年頃から、会社の経営は次第に悪化し、昭和四三年春以降の実働一日一車当り営業収入は甲府市内同業者中毎月最低又は最低に近い状態で、五五期(昭和四三年四月一日より九月三〇日まで)には遂に数百万円の赤字に転落し、五六期も同様であつた。

3  昭和四四年春の賃上げ要求と会社の再建策の提案及び会社再建委員会の設置

昭和四四年三月八日、組合から基本給一万円の賃上げ要求が提出された。労使は三月二〇日を第一回として団体交渉を重ねたが、組合が、会社の支払い能力を無視する態度に終始したため、労使の対立はとけず、組合は四月一八日から争議行為(ストライキ)に突入し、特に五月中旬よりは落書斗争(車体全面に賃金最低等の悪質な内容の落書きを大書し市民のひんしゆくをかつたもの)と称して違法不当な行為にまで及んで争議行為を続行し、山梨地方労働委員会の斡旋も不調に終り、実に六月一〇日迄続けられた。会社は、組合が争議行為に突入した四月一八日従業員に対し賃上げについて会社がそれまでの団体交渉において組合に説明したことを「従業員に訴える」との文書にして郵送し会社の立場に対する正しい理解をもとめた。その中で、会社は「五六期の決算を現在行いつつあるが、数百万円の赤字は確実で、これに前期の赤字五七五万円余を加算すると、一千万円になんなんとする欠損金の累積となる。殊に五七期は過去の実績より見て前記よりの営収の少ない期であるので、現状のままでいくと賃金ベースアツプをしなくとも六百万円前後の赤字が見越される。このような会社の現状を役員会に於ても重大視して慎重に検討した結果、数字的には賃金ベースアツプは不可能な経営状態ではあるが、現在の社会情勢と物価の値上り、従業員の生活環境等を考えれば、何程かのアツプは行わなければならないと考える。それには今迄の慣習によつた営業方針では到底不可能なので、新しく対策を考慮し収支計算の見透しある案を作成し、組合員の同意を得たうえで賃金ベースアツプ額を回答したい」としていた。会社は五月三日(第三回)の団体交渉で前記の案としての会社再建案を提示し、これによつて賃上げを行うことを回答した。この再建案は、(イ)勤務時間の改訂、(ロ)賃金体系の改訂、(ハ)営業所の機構改革の三点を骨子とし、これにより危機突破と企業の健全化をはかろうとしたものである。

しかし、組合はあくまで賃上げ優先を主張し、再建策による賃上げを主張する会社と対立し、労使は五月一〇日以降団体交渉を重ねた。かくして、六月一一日の第一三回団体交渉において、賃上げは組合が同業他社の地場相場と称していた一人平均四、七〇〇円で妥結し、同時に会社が提案していた再建策については、労使で構成する会社再建対策委員会を設置しそれにより具体案を検討することとし、これを設置する旨の確認書を締結した。

そして、六月一六日、労使は会社再建対策委員会規約を作成し、目的、審議事項、構成人員、委員の任期、委員会の開催、決定事項を定めた。目的は「企業の再建、業績向上並びに従業員の生活向上を図るを目的とする」とされ、審議事項は、「再建対策委員会は下記事項を審議する。1会社の再建並びに業績向上に関する事項、2会社の機構改革に関する事項、3従業員の労働条件に関する事項、4その他委員会が必要と認めた事項」とされた。その後、会社側は、取締役営業部長駒井豊作、経理課長三井広人、営業課長向山孝助、労務係長日本潤を委員として選出し、組合側は、執行委員長石田国一、副委員長小尾光治、書記長清水峯雄、書記次長大石一二三及び全自交本部書記長金良清一を選出した。

4  再建対策委員会による会社再建策の決定

会社再建対策委員会は、六月一七日を皮切りとして前記の会社再建策につき審議し七月二二日これを確定するまで一一回開催した。

六月二〇日(第四回)の委員会において営収不振の原因が追究討議されたなかで、組合は「働かない者は組合が責任をもつ」「ズボラは退職も止むを得ない」と申述べ、一車二人制一ケ月一三乗務の実施、配置転換には組合が責任をもつことにつき合意が成立し、又、組合が委員長の半専従を認めるよう要求したので、会社は「委員長以外の組合役員は就業時間中の組合活動をせず生産性向上に協力してもらう」ことを強く要請したところ、組合はこれを了承したので会社も右要求を承認することとした。又七月一〇日の委員会で、組合は、会社に一一万円以下の水揚げの者に対しても歩合給四、〇〇〇円の保障を残すことを要求し、会社はあくまでこれを廃止しようとしたが、組合は、「一一万円以下の低稼働者があつたのでは会社の再建は出来ない。ズボラで水揚げの少ない者については組合も全自交本部も責任をもつて除去して行く」と確約したので、当面は組合の要求を認めることとした。これらのことについては申請人両名は再建委員として自ら関与し充分に承知していることである。特に、席上、会社が申請人清水に対して、従来組合役員は働かなかつたので今後は協力してくれるよう念をおしたところ、同人は「一車二人制になれば一日おきに明番になるので従来のように迷惑をかけることは決してしない」旨誓つた。このように労使は委員会を重ね、七月二二日に再建策の全部につき決定し協定書を作成調印した。かくして、稼働営収最低目標一乗務一万円、一ケ月一四万円(公出二日を含む)が了承され、非乗務員も二種運転免許所持者は営収向上のためハンドルをにぎり、役員は七月より報酬も減額し、ここに上下一丸となつて会社再建の協力体制をしき七月二六日より実施した。

5  再建協定の実施後の業績改善の推移

(1) 昭和四四年九月まで

再建策のもとにおける労働条件は甲府地区としては最上クラスであり、同業他社の運転者と同じ水揚の場合、当会社は約二万円賃金が高いので、同業他社の非難さえあびる程であつた。

同年九月会社は五七期の決算をむかえたが、春の争議行為による損害の痛手が大きく約一、五〇〇万円の赤字決算となり、期末累積赤字は約二、四〇〇万円となり、再建の前途のけわしいことが明らかになつた。

他方、再建策実施後も、組合執行部は再建委員会の席上における再三再四の確約並びに再建協定の趣旨に反して、会社の営収向上に協力しなかつた。組合は、会社が労働協約の労働時間中の組合活動の条項を協定どおり厳正に適用し賃金カツトしようとしたところ、これにさえ強く反対し、遂に賃金カツトを実施させなかつた。

(2) 同年一〇月より一二月まで

しかし、同年一〇月以降は再建策の実施により大多数の従業員の勤労意欲が向上したこと、並びに偶々九月に運賃改訂がなされたことにより、会社の営業収入は急速な改善をみたが、再建協定においては、全国的にもその例をみないような乗務員一人平均二万数千円という大巾な賃金引き上げを行つているため、会社の収支決算は営収の伸びにみられるごとき好転はしなかつた。そこで会社は、これまでの推移を分析した結果、さらに営収の改善をはかるためには特に低営収者のレベルアツプを重点的に行う必要があることがわかつた。一二月一五日の年末賞与支給日に社長よりこの趣旨を従業員に周知させるため訓話がなされた。

(3) 昭和四五年一月より三月まで

会社では五八期の決算も近づいてきたので、二月末仮決算をして詳細な業績の分析と今後の方針を検討した。その結果、再建策実施後、大多数の従業員の勤労意欲は向上しそれは営収の改善となつてあらわれているが、一部の従業員特に組合役員の営収が依然として低く、これが全体の足を引つぱる最大の要因であることがはつきり確認された。そこで、今後の方針として(1)低営収者を平均までレベルアツプする、(2)特に組合役員の営収を引き上げる等を決定した。そして、その直後には運転者の研修会を開催し、運転者の賃金と営収との関係を説明するなどして低営収者の営収引上げを強く要請した。このような努力もあつて昭和四五年三月の五八期の決算は、会社は約五六〇万円の利益を計上することができたが、いまだ期末累積赤字は約一、八〇〇万円残つていた。

(4) 同年四月及び五月

三月二〇日組合より基本給一万二千円の賃上げ要求が提出された。そこで、労使はこれにつき四月中に一〇回の団体交渉を開催した。席上、会社は賃上げの前提として、五九期が再度赤字に転落しないように、前年九月の運賃改訂の際に留保したままになつていた歩合給の改訂(いわゆる足切りの一万円引き上げ)を組合に提案した。組合は歩合給の改訂は賃下げであると主張し、これに反対した。しかし、会社はこれは運賃改訂に伴うものであつて賃下げではないと説明し、組合の賃上げ要求に対しては、右の歩合給改訂により生れる源資一ケ月約六〇万円とこれからの低営収者のレベルアツプにより生れる源資でこれをまかなうほかないと回答した。結局五月六日賃上げについてのみ一人平均基本給四、〇〇〇円アツプで妥結し、会社が提案していた歩合給改訂については再建委員会で検討することを確認した。

ところで、既に述べたとおり五八期末においてもいまだ多くの低営収者がおり、特に再建委員である申請人両名は極端な低営収者であつた。このような状況が続けば、春の賃上げ負担も考慮すれば、会社再建は挫折することが明らかであるので、会社は、その後の再建対策委員会において、組合委員に対し、それまでの確認に基づき組合は少なくとも組合役員の営収改善には全力をあげて努力すること、特に極端な低営収者である申請人両名の営収改善を強く要請したところ、組合は、その都度これを責任をもつて行うことを強く確約した。四月下旬の再建対策委員会の席上では、組合は「過当競争の激しいタクシー業界では労使で企業防衛をしなければならない。従つてズボラの者は組合が責任をもつて指導し不誠意の者は排除する」旨明言している。

賃上げ妥結後の対策委員会では、会社は、春斗の賃上げ、社会保険料値上げ、自動車保険料の引き上げ、LPガス税の値上げにより、五九期は再び赤字決算の可能性があつたので、会社は組合に対し歩合給改訂と低営収者のレベルアツプを早急に行わなければ経営の維持が出来ないことを幾度も述べて協力を要請した。その結果、ようやく組合は歩合給改訂は六月中に行うことを文書で約束した。

(5) 同年六月

六月に入り、春斗の賃上げ等による経営の圧迫は再び赤字転落を現実化する様相を示してきたので、会社は、特別に四月、五月両月の仮決算書を作成し、これを対策委員会に提出して組合の反省と協力を求めた。

そして、労使は六月下旬の団体交渉で低営収者はあるべきでないとの立場から、それまで低営収者に保障していた歩合給四、〇〇〇円を廃止するとともに、歩合給の足切り額を一万円引き上げるとともに、これの見返りとして基本給一、〇〇〇円を引上げることで妥結した。

(6) 同年七月

七月六日、会社は低営収者対策として、「個人別稼高グラフ」を各営業所に掲示して、低営収者の奮起をうながした。ところが、七月九日の団体交渉の直後、組合は、営収向上の方法はそのような方法によらなくても他に方法があるではないかと右掲示に異議を唱えた。そして、申請人清水は交渉に出席していた駒井営業部長に対し「これを許可したのは部長か」などと申向けてつめより同部長を罵倒したあげく椅子をけとばすなどの乱暴をはたらいた。しかし、次回一一日の団体交渉の席上、申請人清水は右の件につき会社に謝罪した。そして、組合は低営収者の指導に責任をもつから掲示はとりのぞいてもらいたい旨述べたので、会社はここでも組合の言を信じて掲示をとりのぞいた。しかし、その後も低営収者の営収改善は一向に効果があがらなかつた。そこで七月二五日には社内報に社長名で経営打開策を訴え、特に現在の第一目標として営業収入を約五%引き上げるべきことを求めた。

二、申請人両名の解雇の理由並びに手続

1  申請人両名の解雇の理由

(1) 営業成績不良

申請人両名の営収は従前より常に従業員中最低クラスであつたが、特に会社が低営収者の営収引き上げを強く要請した昭和四五年三月以降は、かえつて会社の方針に反発するかの如く悪化の一途をたどつた。すなわち、再建委員会が発足した以降の申請人小尾の営業収入は(かつこ内は同人の給料)

昭和四四年 八月  八〇、八三〇円

(四九、一七三円)

九月  七〇、三七〇円

(四三、八六七円)

一〇月 五〇、五一〇円

(五〇、八四八円)

一一月 五三、一九〇円

(四七、九七〇円)

一二月 五六、九二〇円

(五三、六九二円)

昭和四五年 一月  七四、〇六〇円

(五五、六二三円)

二月  六一、八四〇円

(五三、二七六円)

三月  二二、八八〇円

(五六、三一四円)

四月  四八、三五〇円

(五三、四五二円)

五月  一六、三〇〇円

(五七、〇〇四円)

六月  一二、七一〇円

(四九、六四四円)

七月  二三、三四〇円

(五三、二三〇円)

であつた。そして申請人清水の営業収入は、

昭和四四年 八月  四五、一六〇円

(三二、二八〇円)

九月  七四、二二〇円

(五四、七七四円)

一〇月 八五、九一〇円

(五五、八九一円)

一一月 三七、七二〇円

(四七、三八四円)

一二月 五八、九一〇円

(五七、三八〇円)

昭和四五年 一月  八九、四四〇円

(五四、九九一円)

二月  五三、七二〇円

(四六、八七四円)

三月  三一、一二〇円

(五六、五四八円)

四月  五六、三六〇円

(四四、八一一円)

五月  一六、〇八〇円

(四七、一三五円)

六月  一三、四〇〇円

(五三、五七六円)

七月  一八、六〇〇円

(五七、一〇〇円)

であつた。右両名は、このように極端に営収が少ないにもかかわらず、賃金は歩合給が減少するだけなので、例えば申請人清水は昭和四五年六月には稼高の約四倍の賃金をもらつている。

(2) 職務怠慢、勤務不誠実、無許可職場離脱等

申請人両名の営業収入がこのように極端に低いのは、両名がたまたま組合役員であつて組合活動に忙殺されていたためという如きものではなく、申請人両名が誠実に就労稼働する意思が乏しいことによるものであつた。すなわち、申請人両名は職務怠慢、勤務不誠実であつて、しばしば無許可職場離脱をしている。申請人両名は、会社に出社してタイムカードを押すと就労せずに組合事務所に行き囲碁将棋にふける等ぶらぶらしていることは日常茶飯事であつた。しかも、会社が申請人両名が組合役員であるので、出来るだけ組合員のいる面前で注意することをさけ、本人だけの時に注意するなどの配慮までしているのに、会社の警告注意を受けてもこれを意に介さない態度であつた。例えば、七月七日取締役総務部長代理三井広人が、会議室で、申請人小尾に対し、同人の営収について警告注意をすると、同人は「組合役員をやめれば働く。全自交本部に自分が働かないと告げたそうだがそんなことはいわないでくれ」などといつて反省の色はなかつた。又三井部長代理が、申請人清水に営収について「君達のような低営収者を会社は雇つておくわけにはいかない。会社は君達を組合活動をするために雇つておくのではない」と警告注意すると、同人は「五百万円くれれば会社をやめてもよい」等とうそぶく始末で反省の様子は少しもみられなかつた。尚この他にも三井部長代理、向山営業課長、日本労務係長は、申請人両名に繰返し警告注意を与えていた。申請人両名は、そもそも再建対策委員会の組合側委員であつて、率先営収を改善しなければならない立場にあつたもので、このようなことで会社より警告注意を受けるようになつていること自体が不誠実もはなはだしい。更に、申請人両名は、単に職務怠慢、勤務不誠実であつたというだけではなく、組合役員であることを嵩にきて職制に高圧的不遜な態度に出ることがしばしばあり、職場の秩序紊乱者であつた。例えば、昭和四五年五月八日、申請人清水が本社営業所の緊急予備車を無断で持ち出したので、向山課長が電話で注意すると、同人は、組合四役を同道して同課長のところに来て「組合に向つてもの申すのか」などと申向けて同課長を脅迫するなどいやがらせを行つた。その際の申請人清水、同小尾の態度はまことに従業員としてあるまじきものがあつた。

(3) 就業規則等の該当条項

前記(1)(2)は、就業規則によると、普通解雇事由を定めた四二条二号「業務に誠意なく出勤不良又は業務能率著しく劣り改善又は熟達の見込みのないと認められたとき」に該当することはもとより、懲戒解雇若しくは諭旨解雇を定めた五一条一号「著しく自分の職責を怠り誠実に勤務しないとき」に該当するものであつて、労働協約一一条においても、組合役員といえども「組合活動は原則として労働時間外に行う」とされており、四四条においては一八号「勤務時間中所属長又は代行者の許可なく職場を離れ又は職場を放棄する等業務の正常な運営を阻害した者」、二一号「前各号に準ずる程度の不都合な行為と認める行為のあつた者」については懲戒さえ出来ると明定されている。したがつて、これらの規定に鑑み会社は就業規則に基づいて普通解雇をした。

2  申請人両名の解雇の手続

七月二六日、会社は会社再建委員会を発足させてから丁度一年を迎えるので、会社は、この一年間の全従業員の稼高成績を検討したところ、申請人両名の成績は前記のとおりで極端に悪いことが明らかになつた。しかも、申請人両名は会社再建委員会の委員でありながら再三再四警告注意しても反省しないのであるから、もはやこれ以上放置しておくことはできなくなつた。そして、会社は、前述の七月二五日の社報による社長の訴えが出された後も、申請人両名の営収に特段の改善がみられないので、八月中旬いよいよ解雇やむなしと決意するにいたつた。しかし、会社幹部は、両名の将来のため懲戒解雇まで行うことは差控え普通解雇にとどめることを内定し、この旨社長に上申した。そして、八月二九日の役員会では前記の理由により申請人両名を解雇することをやむなしと決定した。そこで、会社は八月三一日組合並びに申請人両名に文書で本件解雇を通告するとともに、あわせて解雇予告手当、未払給料、退職金の支払通知をしてこれらを提供したが、申請人両名はこれらを受領しないので、会社は昭和四五年九月一一日解雇予告手当を甲府地方法務局に弁済供託した。

よつて、会社と申請人両名との本件雇傭契約はいずれも、右解雇の通告がなされた昭和四五年八月三一日頃終了した。

第五疎明関係<省略>

理由

一、申請人小尾が昭和三七年七月から、同清水が昭和三五年一二月からそれぞれ運転手として会社に勤務し、会社の従業員によつて組織される組合の組合員であつたこと、会社が、昭和四五年八月三一日、申請人両名に対し「組合の三役を理由に会社の許可なく就業を怠り、しかも、最近数か月の営業成績が全従業員中最低である」ことを理由に解雇の通知をしたこと、及びその際解雇の根拠として次の各規定を掲げたことは、いずれも当事者間に争いがない。

就業規則四二条(解雇)

従業員が次の各号の一に該当するときは解雇する。

2 業務に誠意なく出勤不良又は業務能率著しく劣り改善又は熟達の見込のないと認められたとき。

同五一条(懲戒解雇)

次の各号の一に該当するときは懲戒解雇に処す。但し、情状により諭旨解雇することもある。

1  著しく自分の職責を怠り誠実に勤務しないとき。

労働協約一一条

組合活動は原則として労働時間外に行う。但し、企業の性格上次の各号に該当する場合は、その都度文書をもつて会社に届出た上で、労働時間内に職場を離れ組合活動を行うことができる。(以下略)

同四四条

会社は組合員が下記の各号の一に該当する行為をなし懲戒するときは懲罰委員会で協議決定する。

18 勤務時間中所属長又は代行者の許可なく職場を離れ、又は職場を放棄する等業務の正常な運営を阻害した者。

二、そこで、本件解雇が労働協約四四条に違反するとの申請人両名の主張について判断する。

まず、前記のように、会社自身、解雇の根拠として懲戒の規定を掲げたことから見て、本件解雇に懲戒的色彩があることは明らかである。しかし、成立に争いのない乙第三五・三六号証の各一・二及び証人三井広人の証言によると、会社においては、申請人両名の前記行為を懲戒解雇の事由に当ると判断したけれども、諸般の事情を考慮して、懲戒解雇の手続は避け、所定の予告手当及び退職金を支給することとし、通常解雇の手続をとつたものと認定することができる。

そうだとすると、本件解雇についての会社の真の意図がどこにあつたかは別として、本件解雇の法律的性格は通常解雇であつて、ただその理由が懲戒解雇事由に該当するといわなければならない。

次に、成立に争いのない甲第二・三号証、第五号証、証人島津徳栄、同清水三三及び同大石一二三の各証言を総合すると、左のとおり認められる。

1  就業規則四八条には、制裁として譴責、減給、出勤停止、降職又は転職、諭旨解雇及び懲戒解雇の六種の処分が規定され、これに対応して、労働協約四五条には、懲戒として右とほぼ同種の処分が規定されている。

2  しかし、労働協約四四条は、懲戒については懲罰委員会が協議決定する旨を規定し、同五四条、五八条によると、懲罰委員会は、会社側、組合側各七人の委員をもつて構成され、懲戒に関する事項のみを協議決定するものとなつている。

3  従来、組合員が懲戒処分を受ける場合には、例外なく懲罰委員会が開かれていたが、その協議決定の対象は、懲戒の当否だけでなく、処分の内容にまで及び、通例は、懲罰委員会の名で懲戒処分が行われていた。

以上のような本件労使関係をもとにして考察を進める。

一般に、懲戒解雇事由に該当する行為があつたとき、その行為が通常解雇の要件をも具えている場合には、その事由に基づいて通常解雇することは、これを妨げる理由がないと解されている。しかし、本件のように、懲戒解雇についていわゆる解雇協議条項が存する場合には、その条項の保護を受けるかどうかは、労働者にとつて重大なことであつて、これを省略して通常解雇することは当然には許されない。すなわち、通常解雇であつても、その事由が懲戒解雇事由に該当する場合には、懲戒解雇と同様に解雇協議条項の手続を経るべきものと解するのが相当である。

その理由を付け加えると、次のとおりである。

1  懲戒解雇は、企業秩序違反に対する、使用者からの制裁罰であり、その点において、制裁罰でない通常解雇と性質を異にするといわれる。しかし、右のような考えは、通常解雇が人員整理その他使用者側の事由に基づく場合においては妥当するけれども、その事由が懲戒解雇事由と一致する場合には、当を得たものとはいえない。後者の場合でも、使用者が、労働者の非行を理由として企業秩序から一方的にこれを排除するのであつて、その限度においては、制裁罰たる懲戒解雇と実質的差異がないからである。

2  もつとも、解雇が懲戒か否かによつて、労働者の名誉感情や経済的利益(退職金)の面に差異があることは否定できない。しかし、これとても、懲戒解雇と通常解雇との差として過大評価することは正当ではない。なぜならば、終身雇用を原則とするわが国の一般的労働事情からすれば、労働者にとつて最も本質的な事柄は、企業秩序から排除されることそのもの、そして、その排除される実質上の理由が何か(労働者は、使用者に対し、解雇事由の明示を求める権利がある。)にあるのであつて、解雇の外面的形態ではないからである。

3  もし、前記説示に反して、通常解雇の形態をとる以上、その事由が懲戒解雇事由であつても、協議条項の履践を要しないと解するならば、使用者は、退職金と引替えに協議条項手続を回避することができ、通常解雇の名で実質的な懲戒を行うことが極めて容易になるであろう。

4  特に、本件労使間においては、譴責、減給等の軽度の懲戒処分についてさえ、懲罰委員会の協議決定によるものとされ、労働者の身分に対する組合からの強い保障が認められている。それなのに懲戒解雇事由に基づく通常解雇に限つて、その保障から除外されると解することは、著しく均衡を失するものがあり、労使間の信義則にも反する解釈といわざるをえない。

以上のとおりであつて、本件解雇は、懲戒解雇事由を理由とするものであるから、これについて労働協約四四条の解雇協議条項の手続を経なければならない。

そうすると、右の手続を経ていないことは、被申請人の認めるところであるから、本件解雇は、その余の判断をするまでもなく無効であり、したがつて、申請人両名は、依然として会社の従業員たる地位を保有する。

三、次に、賃金の支払方法については当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によると、本件解雇当時の申請人両名の賃金額は、少くともその主張どおりと認められるので、被申請人は、本件解雇の翌月である昭和四五年九月以降毎月二九日かぎり、それぞれ申請人小尾に対しては月額五〇、七〇三円、同清水に対しては月額四七、八〇一円を支払う義務がある。

四、次に、弁論の全趣旨によると、申請人両名は、賃金を唯一の収入源とする労働者であつて、本案判決の確定をまつては回復しがたい損害を被るおそれがあると認められるので、本件仮処分はこれを認める緊急の必要がある。

五、よつて、申請人両名の本件仮処分申請は理由があるから、保証を立てさせないでこれを認容することとし、訴訟費用の負担については、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 橋本攻 春日民雄 村上和之)

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